全3回のプログラム「磯焼けこども調査隊inあまくさ」
子ども達は第1回11月5日(土)、第2回12月3日(土)の体験、第3回1月29日(日)の学習発表を通じて海を学び、海について考え、感じたことや自分の意見を広く伝えることを目標にしています。
近年、「海のゆりかご」とも言われる豊かな日本の藻場が徐々に失われています。
熊本県の天草・通詞島(つうじしま)でも、海藻が減少し、海藻が繁茂しなくなる「磯焼け」が起きて、約15年前から特産の海藻トサカノリの獲れる量が極端に少なくなりました。
今回は、磯焼けによる海の変化を見てきた素潜り漁師らの取り組みを聞き、藻場の現状や海藻について理解を深めました!
増殖実験では、約3か月間に渡って海藻が生長する経過を観察して、変化や気づきについては、iPadで文書や絵にしてまとめて情報を共有し、集大成であるYouTube生配信による学習発表(熊本教育委員会が主催するKumamoto Education Weekのプログラム)に活用します。
今回は第1回目の様子をお届けします!
九州大学理学部附属天草臨海実験所の「新垣誠司准教授」が天草の海の特徴である多様性について解説をしました。続いて、素潜り漁師として通詞島で25年ほど海の変化を見てきた「松本千恵人さん」に体験談を聞きました。
松本さんが実際に潜っている映像をモニターで見ながら、トサカノリの生息域や漁の方法などについて教えてもらいしました。年々減っているトサカノリを守る対策としての漁の制限や、胞子による受精の機会を増やす取り組み、トサカノリが減った原因の一つであるウミアザミの駆除について詳しく聞きました。
トサカノリの生息域を守るための取り組みの一つである10m四方の遮光シート30枚を設置している場所を上空のドローンと水中ドローンのライブ映像で確認しました。
ドローンの操縦は、4班に分かれた班の代表が体験、海の中の様子をじっくり観察する機会は初めてで「インターネットで調べてみた写真と、実際の天草の海は全く違ったので驚きました」という感想もありました。
海岸で予定していた海藻の収集は、海岸に打ち上げられたものがほとんどなく、実施できませんでしたが、子ども達は、目の前の海域で磯焼け対策がなされていることを知り、現実に起こっている海の課題を認識しました。
海藻について理解を深める方策として、海藻の標本(海藻おしば)作りにもチャレンジしました。
海藻の3種(緑藻類、紅藻類、褐藻類)の分類や食品としての魅力などについて、カネリョウ海藻の出口信さんに講義をしてもらいました。
実際に海藻を初めて触ったという子は、感触が「プチプチ、ヌメヌメする」ことも体験しました。「海藻おしば」は赤や緑の海藻6種類を使い、水に沈めた紙の上にピンセットで海藻を広げながら並べ、形を整えます。子ども達は、作業に没頭し、個性豊かな作品が次々と出来上がりました。
トサカノリの仲間である海藻のミリンを使って、3ヵ月間にどのように生長するのかを観察します。実験の監修をした熊本県水産研究センターの竹内美彌子研究員は、トサカノリを増やすための養殖方法を研究している方で、今回は過去の実験の成功例を基にして生長が見込める条件を設定しました。
班ごとに200gずつ4つの網に分けたミリンは、海に沈める深さなどを変えて経過を観察します。期間中は各網付近の海水温や照度の変化を記録します。
子ども達は、思い思いにミリンの生長について予想し、「下に垂れ下がって長く伸びる」「全体が太くなる」「重さは300gぐらいになる」などと1ヵ月後、3か月後の変化について想像を膨らませていました。
イベント名 | 【第1回】磯焼けこども調査隊inあまくさ |
参加人数 | 21名 |
日程 | 2022年11月5日(土) |
場所 | 熊本県天草市五和町、牛深町 |