カブちゃん熊日ニュース~其の11「高級クラゲが不漁 豪雨直撃、有明海に異変 貧酸素原因か」
有明海で九州北部の豪雨後、中華料理の高級食材で知られるビゼンクラゲが不漁となっている。筑後川から大量の淡水が流れ込んで海水と十分に混ざらず、貧酸素状態になっているのが原因とみられ、クラゲ漁を副収入源とするノリ漁師にとって痛手となっている。
ビゼンクラゲは、傘の内側が赤茶色なのが特徴で、通常直径60~70センチ、大きいもので1メートルを超える。中国での需要が高まり、有明海でも約5年前からノリ漁が本格的になる前の7~9月ごろに漁が行われてきた。
今年は佐賀、福岡両県の漁協で漁の開始を7月5日と定めたが、当日に豪雨が発生。漁場を調査する佐賀県有明水産振興センター(同県小城市)によると、クラゲの姿はほとんど見えず、休漁する漁師が相次いだ。
クラゲ漁を始めて3年目になるという佐賀市のノリ漁師川崎賢朗さん(56)は「今年は昨年の3分の1くらいしか網にかからなかった」と嘆く。 中国の富裕層の間で有明海産は質が高いと評判。昨年までは1キロ当たり100~300円ほどで売れ、1隻で1日500キロ~1トン取れることもあった。
有明海の生態系などを調査する佐賀大学低平地沿岸海域研究センター(佐賀市)は、貧酸素以外の要因として筑後川からの泥水が勢いよく海に流れ、沿岸に生息するクラゲ自体が沖合に流された可能性も指摘。藤井直紀特任助教は「今年は厳しい状態が続くと思う。来年以降についてはビゼンクラゲの研究が進んでいないこともあって、予測できない」と話している。